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京都賞WSでWitten氏の講演を聞いてきました

寒くなりましたねーw
ringです◎

去る11月12日に京都の国際会館で開かれた、E.Witten氏の京都賞基礎科学部門の受賞記念ワークショップに行ってきました。
Witten氏と言えばワタシのような者でも知っている超有名人。是非一度生で拝見したいと思って、「専門家・研究者向け」の注意書きに負けずに勇気を出して申し込みました。

京都賞についてはこちらをご覧ください↓
http://www.kyotoprize.org/ja/

お昼の13時開演で、駅についたのが12時45分。地下鉄の駅名が「国際会館」なので、降りたらすぐだろうと思っていたのですが、意外に歩いて危うく遅刻するところでしたw
席についてまもなく、神妙な声で開会のアナウンス(英語)が。そう、今日のワークショップはすべて英語なのです!ドキドキ。でもこれくらいならついていけるかなー、という感じ。まだ司会の人しかしゃべってないけど。

おもしろかったのは、講演を予定されていた高柳先生が、別の「ニューホライズン物理学賞」という賞を受賞されたために講演がキャンセルになったということ。当日の朝に受賞がニュースで流れていました。受賞記念のWSを受賞で休まれるとは…どんだけレベル高い集まりなんでしょうかw

続いてなぜか京都大学の副学長の免疫系の教授?の挨拶。スーツ姿でポケットに両手を突っ込んで、欧米人のようなスピーチでした。英語が聞き取れなくて何言ってるかわかんない。大丈夫かな…

さてここからが本番、いきなり本日のメイン、Witten氏の講演です。
まず思ったのは、英語が滑らかすぎて、何をしゃべっているのか「完全に」わからないw英語なのかなんなのかすらわからないw自分の英語力の低さに愕然としました。
しかしそこはご配慮いただいていたのか、スライドにかなり丁寧に文章が書いてあり、心を澄まして聞いているとどうやらほとんどスライドを読み上げているようです。というわけで必死でスライドに目をこらしました。

内容ははっきり言って何もわからなかったのですが(笑)、"volume conjecture"というものがあって、それを理解するために(?)Feynman path integralのexponentialの中のkを無限大に近づけたときの振舞いを調べたい。そのために古典的なAiry関数で同じことをして(具体的にはMorse理論を使ってLefschetz thimbleという積分路を作る)そのアナロジーをconnection全体の空間でChern-Simons汎関数?をMorse関数として実行する、といような雰囲気でした。

14時20分頃に講演が終わったのですが次の講演は15時から。休憩長いな…講演者が一人少なくなったからでしょうか?
おかげさまで食べ損ねたお昼ご飯(ヤマザキパン)をソファーに座ってゆっくり食べられました◎

休憩後の講演は中島先生。中島先生は18年?くらい前に聞いたWitten氏の講演に対する返事、ということで最近研究しているCoulomb branchというKahler多様体の定義について?話をされているようでした。講演タイトルがアブストラクトから変更されていて会場の笑いを誘っていました(4次元→3次元となってました。全然話の内容変わってきそうなイメージなんですが…)。

続いては立川先生。最初に何やら学生ネタ?のジョークをとばして笑いをとっていましたが、いかんせん意味がわからず辛かったw立川先生も講演のタイトルがアブストラクトと違います。というか、変更前のタイトルすら配られた資料と違う(たぶん高柳先生のタイトルを誤植している)。何がどうなっているのかわかりません。講演内容も物理的でよくわかりませんでしたが、有限の大きさの箱を考えて真空の数を数えておられました。箱のサイズによらないというのがポイントらしく、小さい箱でも大きい箱でもいいとかそんな感じのことをおっしゃっているように聞こえました。

そして最後に深谷先生。私は実は深谷先生の講演を一番楽しみにしていました。が、ただでさえ早口なのに英語なのでまったくわかりません。とりあえず、昔Witten氏が定式化した等式が数学的には右辺も左辺も定義できないのでどうしようもないみたいな話だったと思います。open string thoryとcotangent bundleのChern-Simons theoryのperturbationが同じじゃないかという話があるらしいですがChern-Simons theoryの摂動展開の係数がうまく定義できないみたいな話で、この場合には定義できるとか、いろいろ定義を頑張っているようだ、という雰囲気しかわかりませんでした。

全体的には、数学側がまだきちんと物理で現れている概念を定式化しきれていないんだろうな、という雰囲気が中島先生と深谷先生の講演から感じられました。そして自分の英語力のなさが辛かったです…

あとは、学生時代に教えてもらった先生達や先輩の顔ぶれが懐かしくて、私ももし数学続けていたらもう少しは理解できたのかな…とか、少し女々しいことも考えてしまいました。

これをいい刺激に、これからも数学の勉強頑張っていきたいと思います!
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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

Poincaré上半平面の測地線の力学的解釈

フランス語キーボードでアクサンの位置が覚えられない!ringです◎
Poincaréって何回も打つので覚えそうなものですがw

昨日は擬球について書きました。擬球はいたるところ曲率が-1の曲面で、追跡線(トラクトリックス)の回転面なのでした。
この追跡線がおもしろい性質を持つのでそれを書こうと思っていたのですが、それはちょっと後回しにしてw

今日はPoincaré上半平面の測地線がx軸に垂直な半直線とx軸上に中心を持つ半円になることについて、力学的に考えるとどうなるかを書いてみます。
このネタは、日曜の講演の後の飲み会で話題になったものです。

資料はこちらをご参照ください。

復習しておくと、Poincaré上半平面とは、上半平面
\[H=\{(x,y)\in \mathrm{R}^2|y>0\}\]
に計量
\[ds^2=\frac{dx^2+dy^2}{y^2}\]
を入れたものでした。

これは要するに
\[g_{11}=g_{22}=\frac{1}{y^2}\]
ということで、
\[g^{11}=g^{22}=y^2\]
となり、$g_{ij}$の偏微分で生きてくるのは
\[\partial _2g_{11}=\partial _2g_{22}=-\frac{2}{y^3}\]
だけなので、Christoffel記号は
\begin{align*}
\Gamma ^2_{11}&=\frac{1}{y}\\
\Gamma ^1_{12}&=\Gamma ^1_{21}=-\frac{1}{y}\\
\Gamma ^2_{22}&=-\frac{1}{y}
\end{align*}
以外は0となって、測地線の方程式は
\begin{align*}
\ddot{x}-\frac{2\dot{x}\dot{y}}{y}=0\\
\ddot{y}+\frac{\dot{x}^2}{y}-\frac{\dot{y}^2}{y}=0
\end{align*}
となります。

さて、これをNewtonの運動方程式だと思って書き直すと、
\[\frac{d^2}{dt^2}\begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}=\frac{1}{y}\begin{bmatrix}2\dot{x}\dot{y}\\-\dot{x}^2+\dot{y}^2\end{bmatrix}\]
より、
\[F=\frac{1}{y}\begin{bmatrix}2\dot{x}\dot{y}\\-\dot{x}^2+\dot{y}^2\end{bmatrix}\]
という力が働いていることになります。

$x,y$の微分が入っているので明らかに保存力でない空気抵抗とか摩擦みたいな力が働いていることになりますが、物理的な解釈は難しそうです。
どなたかもし物理的な意味を見出されたらお教えください◎

とりあえずここではそういう力が働くものとして軌道をいくつか考えてみます。

まず、$x$軸に垂直に運動している場合。
このときは$\dot{x}=0$なので$y$軸方向に正の力が働くことがわかります。
$x$軸方向には力が働かないので$x$軸に垂直に運動し続けます。
さらに、$y$座標が小さければ小さいほど力が大きい。
なので下向きに運動していっても$x$軸には辿り着けない。
でも絶妙なバランスで、跳ね返される(どこかで上向きに向きを変える)ということもない。
いつまでも減速しながら$x$軸に限りなく近づいていくことになります。

次に、$\dot{y}=0$の場合。
軌道が一瞬$x$軸に平行になった、というところですが、$y$軸の負の方向に力が働くために下に曲がってしまいます。
あとはさっきと一緒で、半円を描きながら$x$軸に向けて無限に「落下」していきます。

あまり物理的にしっくりくるものではないですが上のようなことを考えました。
測地線の形について、長さの観点から自然な説明ができるといいのですが…
ご存知の方が見えたらぜひお教えください◎
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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

擬球(3次元空間内の負定曲率曲面)

発表を聞きにきてくださった方々、ありがとうございました!ringです◎

今日は、昨日の発表のあと「もっと知りたい」とリクエストがあった擬球(pseudosphere)について書いていきます。

擬球というのは、3次元空間の中で追跡線(トラクトリックス、tractrix)という曲線を回転させて得られる回転面で、いたるところ曲率が-1となる曲面です。E.Beltoramiが非Euclid幾何学のモデルとして使用しました。
昨日の講演でお話したPoincré上半平面(双曲平面)の一部を3次元Euclid空間内で実現しています。
ラッパみたいな形をしているのですが、Poincré上半平面の全体を表すには、ラッパの口をもう少し引き延ばして、さらにその普遍被覆というものをとる必要があります。これは細かい話なのでまた別の機会に書きます。

とりあえず今日は、擬球を構成してみたいと思います◎
作戦としては、まず曲線を$z$軸回りに回転させて得られる曲面の曲率を一般的に計算して、その曲率が-1となるという条件の微分方程式を解く、ということにします。
曲面のパラメータ表示から曲率の計算までは、以前の記事(ここらへんから)をご参照ください。

まずは回転させるべき曲線を、$x$-$z$平面上の
\[\begin{bmatrix}x\\z\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}f(u)\\g(u)\end{bmatrix}\]
としましょう。
後の計算を簡単にするため、単位速さになるようにパラメータをとっておきます。
つまり
\[f'(u)^2+g'(u)^2=1\]
としておきます。

この曲線を$z$軸回りに回転させた曲面は
\[p=\begin{bmatrix}f(u)\cos v\\f(u)\sin v\\g(u)\end{bmatrix}\]
とパラメータ表示できます。
これを$u$,$v$で偏微分すると
\[p_u=\begin{bmatrix}f'\cos v\\f'\sin v\\g'\end{bmatrix},p_v=\begin{bmatrix}-f\sin v\\f\cos v\\0\end{bmatrix}\]
なので、第一基本量は
\[E=p_u\cdot p_u=(f')^2+(g')^2=1,F=p_u\cdot p_v=0,G=p_v\cdot p_v=f^2\]
となります。

次に法ベクトルを計算すると
\[p_u\times p_v=\begin{bmatrix}-fg'\cos v\\-fg'\sin v\\ff'\end{bmatrix}\]
なので、これを単位化して
\[e=\begin{bmatrix}-g'\cos v\\-g'\sin v\\f'\end{bmatrix}\]
が得られます。

$p$の二階微分を計算すると
\[p_{uu}=\begin{bmatrix}f''\cos v\\f''\sin v\\g''\end{bmatrix},p_{uv}=\begin{bmatrix}-f'\sin v\\-f'\cos v\\0\end{bmatrix},p_{vv}=\begin{bmatrix}-f\cos v\\-f\sin v\\0\end{bmatrix}\]
となり、これらから第二基本量が
\[L=p_{uu}\cdot e=-f''g+f'g'',M=p_{uv}\cdot e=0,N=p_{vv}\cdot e=fg'\]
と計算できます。

ちょっと長かったですが、第一基本量と第二基本量を使うとGauss曲率が以下の式で求められます。
\[K=\frac{LN-M^2}{EG-F^2}=\frac{(-f''g'+f'g'')g'}{f}\]

これはもう少し簡単にできます。
最初にとった曲線のパラメータの条件
\[(f')^2+(g')^2=1\]
を$u$でもう一階微分すると
\[2f'f''+2g'g''=0\]
となり、$g'g''=-f'f''$がわかります。これと$(g')^2=1-(f')^2$とを使うとGauss曲率は
\[K=-\frac{f''}{f}\]
という形に書けます。

さて、曲率の一般的な式が出たのでこれが-1に等しい($K=-1$)という条件を考えましょう。
$K=-1$ならば、
\[f''=f\]
が成り立つはずです。
これの解としては例えば$f(u)=e^{-u}$がとれます。
このとき$g'(u)=\sqrt{1-f(u)^2}=\sqrt{1-e^{-2u}}$なので
\[g(u)=\int _0^u\sqrt{1-e^{-2u}}du\]
となります。

以上をまとめると、曲線
\[\begin{bmatrix}x\\z\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}e^{-u}\\\int _0^u\sqrt{1-e^{-2u}}du\end{bmatrix}\]
を$z$軸回りに回転させて得られる曲面は、いたるところGauss曲率が-1ということになります!

これで擬球が構成できました。
冒頭にも述べましたが、上で得られた曲線はトラクトリックス(追跡線)といっておもしろい性質を持ちますので、次はこれについて書けたらと思います◎
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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

曲率テンソルの座標表示

明日、つどいの講演を個人的にもう一度やります!ringです◎

昨日の記事の最後に突然曲率テンソルの座標表示を載せたので、なんでそうなるかの計算を書いておきたいと思います。
今日は記事が短くなるように説明は省略して簡潔にいきたいと思います!

多様体$M$の上に接続$\nabla$が与えられると曲率テンソルが定義できます。
接続$\nabla$とは何かと申しますと、ベクトル場の組にベクトル場を対応させる双線形写像
\[\nabla :\mathcal{X}(M)\times \mathcal{X}(M)\rightarrow \mathcal{X}(M)\]
であって、第1成分については$\mathcal{C}^{\infty}(M)$線形
\[\nabla _{fX}Y=f\nabla_XY\]
で、Leibniz rule
\[\nabla _X(fY)=(Xf)Y+f\nabla_XY\]
を満たすもののことです。

今日は第1成分は省略して書くことにします。
そうするとLeibniz ruleは
\[\nabla (fY)=(df)\otimes Y+f\nabla Y\]
と書けます。$\otimes $はおまじない程度に思ってください。
($X$を代入すると$(df)\otimes Y(X)=(Xf)Y$と普通の積になる)

さて、各点で接空間の基底を成すようなベクトル場の組$\{e_i\}$をとります。
こんなものがglobalに存在するとは言えないので、多様体のすみっこの方でこっそりとることになります。
なので、こういうものをlocal frameと呼びます。

$\{e_i\}$は基底を成しているので、これらに応じた接続形式と呼ばれる1-formの組$\{\omega ^j_i\}$があって、
\[\nabla e_i=\omega^j_i\otimes e_j\]
と書けます。

ここで突然曲率形式と呼ばれる2-formの組$\{\Omega ^j_i\}$を以下で定義します。
(こいつらも$\{e_i\}$の取り方によってます)
\[\Omega ^j_i:=d\omega ^j_i-\omega ^k_i\wedge \omega ^j_k\]
これらがlocal frameの取り換えについて1価共変1価反変的に変換することがLeibniz ruleを使えば確かめられます。

さてここで1つ多様体の座標$\{u^i\}$をとりましょう。Christoffel symbolはこの座標に関する接続形式の係数として導入されます。
\[\omega^j_i=\Gamma^j_{ik}du^k\]
この式を使って曲率形式を計算していきましょう。
$u^i$に関する微分は$\partial_i$で表すことにして、
\begin{align*}
\Omega^j_i&=d\omega ^j_i-\omega ^k_i\wedge \omega ^j_k\\
&=d(\Gamma^j_{ih}du^h)-\Gamma^k_{il}du^l\wedge \Gamma^j_{kh}du^h\\
&=\partial_l\Gamma^j_{ih}du^l\wedge du^h-\Gamma^k_{il}\Gamma^j_{kh}du^l\wedge du^h\\
&=(\partial_l\Gamma^j_{ih}-\Gamma^k_{il}\Gamma^j_{kh})du^l\wedge du^h
\end{align*}
となります。

ここで、微分形式の係数を交代化します。
次の式だけは$l$と$h$は定数と思ってEinstein notationを適用しないで読んでください。
すると一般に
\begin{align*}
&f_{lh}du^l\wedge du^h+f_{hl}du^h\wedge du^l\\
&=(f_{lh}-f_{hl})du^l\wedge du^h\\
&=\frac{f_{lh}-f_{hl}}{2}du^l\wedge du^h+\frac{f_{lh}-f_{hl}}{2}du^l\wedge du^h\\
&=\frac{f_{lh}-f_{hl}}{2}du^l\wedge du^h+\frac{f_{hl}-f_{lh}}{2}du^h\wedge du^l
\end{align*}
と変形できます。

なので、一般の2-formは次のように係数を交代化できます。
(次の式からは$l$と$h$はindexと思ってください)
\[f_{lh}du^l\wedge du^h=\frac{f_{lh}-f_{hl}}{2}du^l\wedge du^h\]

これを曲率形式に適用すると$\Omega^j_i$は
\[\frac{1}{2}(\partial_l\Gamma^j_{ih}-\partial_h\Gamma^j_{il}+\Gamma^k_{ih}\Gamma^j_{kl}-\Gamma^k_{il}\Gamma^j_{kh})du^l\wedge du^h\]
と書けることがわかります。
分母を$R^j_{ilh}$と書くことにすると
\[R^j_{ilh}=\partial_l\Gamma^j_{ih}-\partial_h\Gamma^j_{il}+\Gamma^k_{ih}\Gamma^j_{kl}-\Gamma^k_{il}\Gamma^j_{kh}\]
となり、綺麗に添字を振りなおすと
\[R^i_{jkl}=\partial_k\Gamma^i_{jl}-\partial_l\Gamma^i_{jk}+\Gamma^h_{jl}\Gamma^i_{hk}-\Gamma^h_{jk}\Gamma^i_{hl}\]
となって昨日の記事の最後の表示が求まります◎

ちなみに、微分形式の係数を交代化しておけば外積じゃなくてテンソル積と思っていいので
(つまり$f_{lh}du^l\wedge du^h=f_{lh}du^l\otimes du^h$)
$\{e_i\}$として$\{\frac{\partial }{\partial u^i}\}$をとっておいて、曲率形式の導入のところでちらっと書いた変換性と合わせると
\[R=R^i_{jkl}\frac{\partial }{\partial u^i}\otimes du^j\otimes du^k \otimes du^l\]
という反変1価共変3価の4階のテンソルが定義できて、Riemann多様体のLevi-Civita接続に対しては、これがいわゆるRiemann曲率テンソルというやつですね!

やっぱり長くなってしまいました…コンパクトにまとめるというのは難しいです。

では明日発表頑張ってきます!
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テーマ : 数学
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曲率テンソルの幾何学的意味

こんにちは、ひっそり数学続けてます、ringです◎

今回のすうがく徒のつどいで発表した内容の延長に、「曲線に沿ったベクトルの平行移動」というものがあります。
普通の平面だと、出発点と到着点が同じなら、どんな曲線に沿ってベクトルを平行移動しても結果は変わりませんが、曲面の上だとそうはいかず、経路によって平行移動の結果が違ってきます。
そこで、無限小の線分$d_1 u$,$d_2 u$からなる平行四辺形を考えて、まず$d_1 u$に沿って平行移動したあとに$d_2 u$に沿って平行移動した場合の結果と、まず$d_2 u$に沿って平行移動したあとに$d_1 u$に沿って平行移動した場合の結果の差がリーマン曲率テンソルになる、という計算を今日は書いてみたいと思います!

簡単のために3次元Euclid空間に埋め込まれた曲面片の場合に計算しますが、一般の場合を考えるのにも特に支障はないはずです。
記号などは説明しますが、つどいの資料に合わせてますので、漏れてたらそちらをご参照ください◎

ではまずはセッティングを。
$p=p(u^1,u^2)$を、$\mathrm{R}^2$の開集合から$\mathrm{R}^3$内の曲面片へのパラメータ表示とします。
このとき$p$の$u^1$,$u^2$による偏微分$p_1$,$p_2$は各点での接平面の基底になります。
さらに$p_1$,$p_2$に直交する単位ベクトル$e$を、$\{p_1,p_2,e\}$が右手系をなすようにとります。
$p$をまず$u^i$で微分してから次に$u^j$で微分したものを$p_{ij}$で表し、次の式でChristoffel symbol$\Gamma^k_{ij}$と第二基本量$h_{ij}$を定義します。
\[p_{ij}=\Gamma^k_{ij}p_k+h_{ij}e\]
さて、曲線$u^i(t)$とその上のベクトル場$\xi=\xi^ip_i$が与えられたとします。今のところ$\xi^i$は関数です。(後で数字にします)素直に$t$で微分すると、
\[\begin{align*}\frac{d\xi}{dt}&=\frac{d\xi^i}{dt}p_i+\xi^i\frac{dp_i}{dt}\\
&=\frac{d\xi^k}{dt}p_k+\xi^ip_{ij}\frac{du^j}{dt}\\
&=\frac{d\xi^k}{dt}p_k+\xi^i\frac{du^j}{dt}(\Gamma^k_{ij}p_k+h_{ij}e)\\
&=\left(\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}\right)p_k+\xi^i\frac{du^j}{dt}h_{ij}e
\end{align*}\]
となりますが、これの接成分だけをとったものを$\xi$の共変微分といい$\frac{D\xi}{dt}$と書きます。
\[\frac{D\xi}{dt}:=\left(\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}\right)p_k\]
この共変微分が0になるようなベクトル場のことを(曲線に沿って)平行と言います。
平行の条件は
\begin{equation}\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}=0\end{equation}
という微分方程式で書けます。
ベクトルを曲線に沿って平行移動するとは、要するにそのベクトルを初期条件として上の微分方程式を解くということです。

さてここからが本題です。
今、点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを無限小だけ平行移動することを考えましょう。
さっきまでは$\xi^i$は関数でしたが、これ以降出てくる$\xi^i_0$などは数字です。
$\xi^i_0p_i$を$d_1u$平行移動したものを$\xi^i_1p_i$、$d_2u$平行移動したものを$\xi^i_2p_i$と書くことにします。
さらに、$\xi^i_1p_i$を$d_2u$平行移動したものを$\xi^i_{12}p_i$、$\xi^i_2p_i$を$d_1u$平行移動したものを$\xi^i_{21}p_i$と書くことにします。
$\xi^i_{12}p_i$も$\xi^i_{21}p_i$も、ともに点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを点$u_0+d_1u+d_2u$まで平行移動したものですが、経路が異なります。
ここからは形式的な計算が始まります(笑)

まずは平行の条件の微分方程式の分母を払います。すると
\begin{equation}d\xi^k+\xi^idu^j\Gamma^k_{ij}=0\end{equation}
となりますね。
点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを$d_1u$平行移動するという状況に即してわかりやすく書き直すと、$d\xi^k=\xi^k_1-\xi^k_0$と思えて
\begin{equation}\xi^k_1-\xi^k_0+\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j=0\end{equation}
となります。
整理すると
\begin{equation}\xi^k_1=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\end{equation}
なり、点$u_0$で$\xi^i_0p_i$を$d_1u$だけ平行移動するとベクトルの成分が$-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j$だけ変化するということがわかります。

この結果をさらに繰り返して適用してみましょう。
つまり、点$u_0+d_1u$でベクトル$\xi^i_1p_i$を$d_2u$平行移動してみましょう。
すると
\begin{equation}\xi^k_{12}=\xi^k_1-\xi^i_1\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)d_2u^j\end{equation}
となります。

さきほどの$\xi^i_1p_i$の計算結果と、$\Gamma^k_{ij}$のTaylor展開の1次の項までのもの
\[\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)=\Gamma^k_{ij}(u_0)+\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^l\]
を代入すると、
\begin{align*}
\xi^k_{12}&=\xi^k_1-\xi^i_1\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)d_2u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad -(\xi^i_0-\xi^h_0\Gamma^i_{hm}(u_0)d_1u^m)\\
&\quad \quad \times (\Gamma^k_{ij}(u_0)+\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^l)d_2u^j
\end{align*}
となり、微小量の2次の項まで取り出すと
\begin{align*}
\xi^k_{12}&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j\\
&\quad +\xi^h_0\Gamma^i_{hm}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^md_2u^j-\xi^i_0\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^ld_2u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)-\partial_l\Gamma^k_{hj}(u_0))d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
となります。

$\xi^i_{21}$は上の式で$d_1u$と$d_2u$を入れ替えればよいので、
\begin{align*}
\xi^k_{21}&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)-\partial_l\Gamma^k_{hj}(u_0))d_2u^ld_1u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hj}(u_0)\Gamma^k_{il}(u_0)-\partial_j\Gamma^k_{hl}(u_0))d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
となります。

そしてこの2つの差をとると、1次の項までは打ち消しあって、
\begin{align*}
\xi^k_{12}-\xi^k_{21}&=\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\partial_l\Gamma^k_{hj}-(\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il}-\partial_j\Gamma^k_{hl}))d_1u^ld_2u^j\\
&=\xi^h_0(\partial_j\Gamma^k_{hl}-\partial_l\Gamma^k_{hj}+\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il})d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
が得られます。

この右辺を$\xi^h_0R^k_{hjl}d_1u^ld_2u^j$と書くことにすると、
\[R^k_{hjl}=\partial_j\Gamma^k_{hl}-\partial_l\Gamma^k_{hj}+\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il}\]
となり、綺麗に書き直すと
\[R^i_{jkl}=\partial_k\Gamma^i_{jl}-\partial_l\Gamma^i_{jk}+\Gamma^h_{jl}\Gamma^i_{hk}-\Gamma^h_{jk}\Gamma^i_{hl}\]
となり、Riemannの曲率テンソルが得られました!

予想以上に長くなってしまいました…。
誤植、計算間違い等あったらお教えいただけると幸いです◎

ついでなので、Riemannの曲率テンソルが上の式で与えられることもそのうち書いてみたいと思います!
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テーマ : 数学
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プロフィール

ring

Author:ring
大学で微分幾何学、位相幾何学を学ぶ。
修士課程修了後、就職。
会社勤めの傍ら、数学イベントやサイエンスカフェなどで、数学のおもしろさを平易に伝える活動をしています。

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