スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

擬球(3次元空間内の負定曲率曲面)

発表を聞きにきてくださった方々、ありがとうございました!ringです◎

今日は、昨日の発表のあと「もっと知りたい」とリクエストがあった擬球(pseudosphere)について書いていきます。

擬球というのは、3次元空間の中で追跡線(トラクトリックス、tractrix)という曲線を回転させて得られる回転面で、いたるところ曲率が-1となる曲面です。E.Beltoramiが非Euclid幾何学のモデルとして使用しました。
昨日の講演でお話したPoincré上半平面(双曲平面)の一部を3次元Euclid空間内で実現しています。
ラッパみたいな形をしているのですが、Poincré上半平面の全体を表すには、ラッパの口をもう少し引き延ばして、さらにその普遍被覆というものをとる必要があります。これは細かい話なのでまた別の機会に書きます。

とりあえず今日は、擬球を構成してみたいと思います◎
作戦としては、まず曲線を$z$軸回りに回転させて得られる曲面の曲率を一般的に計算して、その曲率が-1となるという条件の微分方程式を解く、ということにします。
曲面のパラメータ表示から曲率の計算までは、以前の記事(ここらへんから)をご参照ください。

まずは回転させるべき曲線を、$x$-$z$平面上の
\[\begin{bmatrix}x\\z\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}f(u)\\g(u)\end{bmatrix}\]
としましょう。
後の計算を簡単にするため、単位速さになるようにパラメータをとっておきます。
つまり
\[f'(u)^2+g'(u)^2=1\]
としておきます。

この曲線を$z$軸回りに回転させた曲面は
\[p=\begin{bmatrix}f(u)\cos v\\f(u)\sin v\\g(u)\end{bmatrix}\]
とパラメータ表示できます。
これを$u$,$v$で偏微分すると
\[p_u=\begin{bmatrix}f'\cos v\\f'\sin v\\g'\end{bmatrix},p_v=\begin{bmatrix}-f\sin v\\f\cos v\\0\end{bmatrix}\]
なので、第一基本量は
\[E=p_u\cdot p_u=(f')^2+(g')^2=1,F=p_u\cdot p_v=0,G=p_v\cdot p_v=f^2\]
となります。

次に法ベクトルを計算すると
\[p_u\times p_v=\begin{bmatrix}-fg'\cos v\\-fg'\sin v\\ff'\end{bmatrix}\]
なので、これを単位化して
\[e=\begin{bmatrix}-g'\cos v\\-g'\sin v\\f'\end{bmatrix}\]
が得られます。

$p$の二階微分を計算すると
\[p_{uu}=\begin{bmatrix}f''\cos v\\f''\sin v\\g''\end{bmatrix},p_{uv}=\begin{bmatrix}-f'\sin v\\-f'\cos v\\0\end{bmatrix},p_{vv}=\begin{bmatrix}-f\cos v\\-f\sin v\\0\end{bmatrix}\]
となり、これらから第二基本量が
\[L=p_{uu}\cdot e=-f''g+f'g'',M=p_{uv}\cdot e=0,N=p_{vv}\cdot e=fg'\]
と計算できます。

ちょっと長かったですが、第一基本量と第二基本量を使うとGauss曲率が以下の式で求められます。
\[K=\frac{LN-M^2}{EG-F^2}=\frac{(-f''g'+f'g'')g'}{f}\]

これはもう少し簡単にできます。
最初にとった曲線のパラメータの条件
\[(f')^2+(g')^2=1\]
を$u$でもう一階微分すると
\[2f'f''+2g'g''=0\]
となり、$g'g''=-f'f''$がわかります。これと$(g')^2=1-(f')^2$とを使うとGauss曲率は
\[K=-\frac{f''}{f}\]
という形に書けます。

さて、曲率の一般的な式が出たのでこれが-1に等しい($K=-1$)という条件を考えましょう。
$K=-1$ならば、
\[f''=f\]
が成り立つはずです。
これの解としては例えば$f(u)=e^{-u}$がとれます。
このとき$g'(u)=\sqrt{1-f(u)^2}=\sqrt{1-e^{-2u}}$なので
\[g(u)=\int _0^u\sqrt{1-e^{-2u}}du\]
となります。

以上をまとめると、曲線
\[\begin{bmatrix}x\\z\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}e^{-u}\\\int _0^u\sqrt{1-e^{-2u}}du\end{bmatrix}\]
を$z$軸回りに回転させて得られる曲面は、いたるところGauss曲率が-1ということになります!

これで擬球が構成できました。
冒頭にも述べましたが、上で得られた曲線はトラクトリックス(追跡線)といっておもしろい性質を持ちますので、次はこれについて書けたらと思います◎
スポンサーサイト

このエントリーをはてなブックマークに追加

テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

ring

Author:ring
大学で微分幾何学、位相幾何学を学ぶ。
修士課程修了後、就職。
会社勤めの傍ら、数学イベントやサイエンスカフェなどで、数学のおもしろさを平易に伝える活動をしています。

twitter
最新記事
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
最新コメント
カウンター
最新トラックバック
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。