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曲率テンソルの幾何学的意味

こんにちは、ひっそり数学続けてます、ringです◎

今回のすうがく徒のつどいで発表した内容の延長に、「曲線に沿ったベクトルの平行移動」というものがあります。
普通の平面だと、出発点と到着点が同じなら、どんな曲線に沿ってベクトルを平行移動しても結果は変わりませんが、曲面の上だとそうはいかず、経路によって平行移動の結果が違ってきます。
そこで、無限小の線分$d_1 u$,$d_2 u$からなる平行四辺形を考えて、まず$d_1 u$に沿って平行移動したあとに$d_2 u$に沿って平行移動した場合の結果と、まず$d_2 u$に沿って平行移動したあとに$d_1 u$に沿って平行移動した場合の結果の差がリーマン曲率テンソルになる、という計算を今日は書いてみたいと思います!

簡単のために3次元Euclid空間に埋め込まれた曲面片の場合に計算しますが、一般の場合を考えるのにも特に支障はないはずです。
記号などは説明しますが、つどいの資料に合わせてますので、漏れてたらそちらをご参照ください◎

ではまずはセッティングを。
$p=p(u^1,u^2)$を、$\mathrm{R}^2$の開集合から$\mathrm{R}^3$内の曲面片へのパラメータ表示とします。
このとき$p$の$u^1$,$u^2$による偏微分$p_1$,$p_2$は各点での接平面の基底になります。
さらに$p_1$,$p_2$に直交する単位ベクトル$e$を、$\{p_1,p_2,e\}$が右手系をなすようにとります。
$p$をまず$u^i$で微分してから次に$u^j$で微分したものを$p_{ij}$で表し、次の式でChristoffel symbol$\Gamma^k_{ij}$と第二基本量$h_{ij}$を定義します。
\[p_{ij}=\Gamma^k_{ij}p_k+h_{ij}e\]
さて、曲線$u^i(t)$とその上のベクトル場$\xi=\xi^ip_i$が与えられたとします。今のところ$\xi^i$は関数です。(後で数字にします)素直に$t$で微分すると、
\[\begin{align*}\frac{d\xi}{dt}&=\frac{d\xi^i}{dt}p_i+\xi^i\frac{dp_i}{dt}\\
&=\frac{d\xi^k}{dt}p_k+\xi^ip_{ij}\frac{du^j}{dt}\\
&=\frac{d\xi^k}{dt}p_k+\xi^i\frac{du^j}{dt}(\Gamma^k_{ij}p_k+h_{ij}e)\\
&=\left(\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}\right)p_k+\xi^i\frac{du^j}{dt}h_{ij}e
\end{align*}\]
となりますが、これの接成分だけをとったものを$\xi$の共変微分といい$\frac{D\xi}{dt}$と書きます。
\[\frac{D\xi}{dt}:=\left(\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}\right)p_k\]
この共変微分が0になるようなベクトル場のことを(曲線に沿って)平行と言います。
平行の条件は
\begin{equation}\frac{d\xi^k}{dt}+\xi^i\frac{du^j}{dt}\Gamma^k_{ij}=0\end{equation}
という微分方程式で書けます。
ベクトルを曲線に沿って平行移動するとは、要するにそのベクトルを初期条件として上の微分方程式を解くということです。

さてここからが本題です。
今、点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを無限小だけ平行移動することを考えましょう。
さっきまでは$\xi^i$は関数でしたが、これ以降出てくる$\xi^i_0$などは数字です。
$\xi^i_0p_i$を$d_1u$平行移動したものを$\xi^i_1p_i$、$d_2u$平行移動したものを$\xi^i_2p_i$と書くことにします。
さらに、$\xi^i_1p_i$を$d_2u$平行移動したものを$\xi^i_{12}p_i$、$\xi^i_2p_i$を$d_1u$平行移動したものを$\xi^i_{21}p_i$と書くことにします。
$\xi^i_{12}p_i$も$\xi^i_{21}p_i$も、ともに点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを点$u_0+d_1u+d_2u$まで平行移動したものですが、経路が異なります。
ここからは形式的な計算が始まります(笑)

まずは平行の条件の微分方程式の分母を払います。すると
\begin{equation}d\xi^k+\xi^idu^j\Gamma^k_{ij}=0\end{equation}
となりますね。
点$u_0$にある$\xi^i_0p_i$という接ベクトルを$d_1u$平行移動するという状況に即してわかりやすく書き直すと、$d\xi^k=\xi^k_1-\xi^k_0$と思えて
\begin{equation}\xi^k_1-\xi^k_0+\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j=0\end{equation}
となります。
整理すると
\begin{equation}\xi^k_1=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\end{equation}
なり、点$u_0$で$\xi^i_0p_i$を$d_1u$だけ平行移動するとベクトルの成分が$-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j$だけ変化するということがわかります。

この結果をさらに繰り返して適用してみましょう。
つまり、点$u_0+d_1u$でベクトル$\xi^i_1p_i$を$d_2u$平行移動してみましょう。
すると
\begin{equation}\xi^k_{12}=\xi^k_1-\xi^i_1\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)d_2u^j\end{equation}
となります。

さきほどの$\xi^i_1p_i$の計算結果と、$\Gamma^k_{ij}$のTaylor展開の1次の項までのもの
\[\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)=\Gamma^k_{ij}(u_0)+\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^l\]
を代入すると、
\begin{align*}
\xi^k_{12}&=\xi^k_1-\xi^i_1\Gamma^k_{ij}(u_0+d_1u)d_2u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad -(\xi^i_0-\xi^h_0\Gamma^i_{hm}(u_0)d_1u^m)\\
&\quad \quad \times (\Gamma^k_{ij}(u_0)+\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^l)d_2u^j
\end{align*}
となり、微小量の2次の項まで取り出すと
\begin{align*}
\xi^k_{12}&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j\\
&\quad +\xi^h_0\Gamma^i_{hm}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^md_2u^j-\xi^i_0\partial_l\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^ld_2u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)-\partial_l\Gamma^k_{hj}(u_0))d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
となります。

$\xi^i_{21}$は上の式で$d_1u$と$d_2u$を入れ替えればよいので、
\begin{align*}
\xi^k_{21}&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}(u_0)\Gamma^k_{ij}(u_0)-\partial_l\Gamma^k_{hj}(u_0))d_2u^ld_1u^j\\
&=\xi^k_0-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_2u^j-\xi^i_0\Gamma^k_{ij}(u_0)d_1u^j\\
&\quad +\xi^h_0(\Gamma^i_{hj}(u_0)\Gamma^k_{il}(u_0)-\partial_j\Gamma^k_{hl}(u_0))d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
となります。

そしてこの2つの差をとると、1次の項までは打ち消しあって、
\begin{align*}
\xi^k_{12}-\xi^k_{21}&=\xi^h_0(\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\partial_l\Gamma^k_{hj}-(\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il}-\partial_j\Gamma^k_{hl}))d_1u^ld_2u^j\\
&=\xi^h_0(\partial_j\Gamma^k_{hl}-\partial_l\Gamma^k_{hj}+\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il})d_1u^ld_2u^j
\end{align*}
が得られます。

この右辺を$\xi^h_0R^k_{hjl}d_1u^ld_2u^j$と書くことにすると、
\[R^k_{hjl}=\partial_j\Gamma^k_{hl}-\partial_l\Gamma^k_{hj}+\Gamma^i_{hl}\Gamma^k_{ij}-\Gamma^i_{hj}\Gamma^k_{il}\]
となり、綺麗に書き直すと
\[R^i_{jkl}=\partial_k\Gamma^i_{jl}-\partial_l\Gamma^i_{jk}+\Gamma^h_{jl}\Gamma^i_{hk}-\Gamma^h_{jk}\Gamma^i_{hl}\]
となり、Riemannの曲率テンソルが得られました!

予想以上に長くなってしまいました…。
誤植、計算間違い等あったらお教えいただけると幸いです◎

ついでなので、Riemannの曲率テンソルが上の式で与えられることもそのうち書いてみたいと思います!
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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

ring

Author:ring
大学で微分幾何学、位相幾何学を学ぶ。
修士課程修了後、就職。
会社勤めの傍ら、数学イベントやサイエンスカフェなどで、数学のおもしろさを平易に伝える活動をしています。

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