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近大数学コンテストでの解答の経緯

ご無沙汰しております。ringです。
1年振りの更新となってしまいましたw

今日は近畿大学の数学コンテストに参加してきました。
http://www.math.kindai.ac.jp/index.php?id=8

昨年も参加したのですが、残念ながら1問も解けませんでした。
今年は5時間かけてちょうど1問解くことができました。
その1問の解答を発見した瞬間がとても嬉しかったので、その経緯を書いてみたいと思います。

私が解答した問題は次のものです。
\[\sum_{k=0}^{\left[\frac{n}{2}\right]}\frac{(-1)^k{}_{n-k}\mathrm{C}_k}{n-k}を求めよ。\]

私の解答は次の通りです。

\[F(x):=\sum_{l=1}^{\infty}\frac{\left\{x(1-x)\right\}^l}{l}\]
のベキ級数展開の$x^n$の係数が求める値である。
(二項展開すればわかる。)

$\log{(1-x)}$のベキ級数展開
\[-\log{(1-x)}=x+\frac{x^2}{2}+\cdots =\sum_{l=1}^{\infty}\frac{x^l}{l}\]
において$x$を$x(1-x)$で置き換えれば
\[F(x)=1-\log{(x^2-x+1)}\]
がわかる。

これを$n$回微分すると、$\omega =e^{\frac{\pi}{3}i}$とおいて
\[F^{(n)}(x)=(-1)^n(n-1)!\left(\frac{1}{x-\omega }+\frac{1}{x-\omega ^{-1}}\right)\]
となる。

したがって求める値は
\[\frac{F^{(n)}(0)}{n!}=\frac{\omega ^n+\omega ^{-n}}{n}=\frac{2}{n}\cos \frac{n\pi}{3}\]
となる。

何と過去問でほとんど同じ問題が出たことがあるらしく、知っている人は一瞬で解けたのかもしれませんが、私はこの解法に思い至り解答を作成するまでにぴったり5時間かかりました。
その経緯が面白かったので以下に記します。

まず、10時にコンテストが始まりました。
私は友人と2人のグループでエントリーしていたので、最初の15分はどの問題を解くかなどの打合せに使いました。

打合せの結果、上の問題と他の問題の2問を頑張ろうということになり、10時15分から10時45分までは各自で考えることとしました。
この30分はほとんど他の問題を考えており、上の問題は$n$が1から5までのときに具体的な数値を計算する程度にとどまりました。

再び15分ほど打合せをして、11時から11時45分までは引き続き各自考えることとなりました。
11時30分くらいまでは他の問題を考えていたのですが、どうにもわからないので、上の問題を再び$n$が10のときまで具体的な数値を計算しました。

このあたりで答えの雰囲気はつかめてきました。
分母が$n$で、分子は1か2、符号がたまに入れ替わる、という感じです。
しかし、どう証明したらいいかは全くわかりません。
数学的帰納法に頼ることになるのだろうと思っていました。

打ち合わせをしましたが、2人とも進捗はありません。
お昼ご飯を食べることとしました。
私は持参した助六寿司をほおばりながら、上の問題で$n$が12の場合まで具体的に計算しました。
このあたりで、分子の挙動がどうやら周期3とか6とかそのような感じで変化しているということに気付きました。
しかし、なんで6という数字が出てくるのかはさっぱりわかりません。

12時30分頃だと思いますが、友人が別の問題を解くと言い出し、私と彼は別々の問題を解くことになりました。
同時に、私は他の問題はあきらめて上の問題一本に絞ることにしました。

そろそろ具体的な計算はやめにして、一般の式を計算しにかかったのですが、どう変形したらいいのか全くわからず途方にくれました。
具体的な計算を観察しても、一般の場合には全く役に立ちません。
帰納法を使いたかったのですが、漸化式のようなものも全く思いつきません。

というわけで、13時くらいだと思いますが、とりあえずもっと簡単な問題を考えることにしました。
具体的には、
\[\sum_{k=0}^{\left[\frac{n}{2}\right]}(-1)^k{}_{n-k}\mathrm{C}_k\]
を計算してみようと思いました。
さきほどまでと同様に$n$が10くらいのときまで愚直に計算してみると、全て0か1か-1になるようです。

ここで、突如積分を使うというアイデアがひらめきました。
今やっている分母がない場合から分母の$n-k$を作るには$x^{n-k-1}$を積分すればいいいと思ったのです。
そこからさらに、二項係数の左側が動く和を計算するときには$\frac{1}{1-x}$を何回も微分すればいいということを思い出しました。
後者は、昔アクチュアリー試験でよく使ったテクニックです。

しかし、どちらのアイデアもそのままでは使えませんでした。
多少のアレンジもしてみましたが、うまくいきません。
解析を使うというアイデアに身を任せてよいのかもわからず、しばらくはさっき考えていた状況よりもさらに簡単な
\[\sum_{k=0}^{\left[\frac{n}{2}\right]}{}_{n-k}\mathrm{C}_k\]
を$n$が小さい場合に計算したり、二項係数の式変形を試みたりしていました。
ここで13時30分くらいだったと思います。

そろそろ時間がないので、式の変形や帰納法で頑張るのか、解析を使って頑張るのか、方針を決めないといけません。
むやみに式変形するのも嫌だった(そして体力もなかった)ので、解析を使って計画的に進めることに決めました。
私が知っていた公式は使えないので、この問題に合わせて何か母関数を考えないといけないな…と思いながら、基本に立ち返りPascalの三角形を書いてあれこれ試しているうちに、ようやく正しい級数$F(x)$に辿り着きました。
(最初から素直にPascalの三角形を書いていたら速かったのかもしれませんね。)

あとはこれを$\log $のベキ級数展開にうまく合わせれば閉じた式が求まるはずです。
計算を進めると2次式の部分分数分解が出てきて、その根が1の原始6乗根になっている。
最初の観察の結果に納得がいき、ここで正解を確信しました。
これが14時15分。

検算したり解答をまとめているうちにあっという間に15時となり、コンテスト終了となりました。
答案用紙に最初考えていた他の問題の番号を書いてしまうという痛恨のミスをしましたが、5時間かけてきちんと解答を発見できた、それも単に思いついただけではなく観察から始まり途中の閃きを基に計画的に解答に辿り着けた、というのはとても嬉しかったです◎
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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

ring

Author:ring
大学で微分幾何学、位相幾何学を学ぶ。
修士課程修了後、就職。
会社勤めの傍ら、数学イベントやサイエンスカフェなどで、数学のおもしろさを平易に伝える活動をしています。

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